不吉な噂のある塔。 そこで身寄りのない少女が、枯れかけた小さな薔薇の木を見つけ育て始める。 　薔薇の木が息を吹き返し葉をつけるころ、少女はその薔薇の木の精を名乗る貴婦人と出会い、触れ合う日々のうちに少女は薔薇の木の精を母のように慕うようになる。 薔薇の木の精は、成長した少女を王の后にすることに執念を見せはじめ、不思議なことを起こし始める。 　自分の大切なものを、自分のできるすべての術（すべ）で守ろうとする薔薇の木の物語。【文・江山菰 絵・渡邉裕美】